ファッション・ショーにはおじさん、おばさんが多く華がないもんだからさぁ、ついついモデルのレナちゃんを誘っちゃったよ。そしたら偶然、会場でファッションTVの取材のお手伝いをする事になっちゃったんだ。
実は9月1日から7日までの間、「東京発 日本ファッション・ウィーク(JFW)」に参加した37ブランドのファッション・ショーが行われたのだ。いわゆる東コレと言われるやつだよ。今回は仕事を1週間ほどキャンセルして、久々にショーを見まくった。
まっ、ファッションというのは「時代」を何よりも映し出す鏡だ。今のファッションを見れば、どんな時代かを知る事ができる。僕は前々からリアルな東京、日本を知りたいと思っていた。で、肌で感じる事が大切なんだよね。そんな訳で、1時間ごとに、移動しながら1日に8本前後のショーを見て回ったんだ。
ところで、最近は「東京ガールズコレクション」や「神戸コレクション」なんかが有名になってきて、誤解してる人がいるかもしれないから、ちょっと説明すると、「東京ガールズコレクション」や「神戸コレクション」は、いわゆる一般の消費者である人達が対象。今、店頭にある洋服を人気モデルやタレントが着て見せる、ファッション・ショー風なイベントなんだよ。
(左)G.V.G.V.
賛否両論あるだろうけど、レディスで最も印象に残ったファッション・ショーの1つ。80年代のボティコン、イケイケガールを思い起こさせた「G.V.G.V.」。歯切れが良くって衝撃的だった。天井の照明は、実は蛍光灯なんだよ。こんな明るいショーは初めて。
(右)Hidenobu Yasui
これも若手デザイナーの一人。80年代ファッションを知らない世代の彼が、80年代の「ヨウジ ヤマモト」を彷彿させたショーだった。いやぁ、リアルタイムを知らないだけに、新鮮に感じた。若手にバトンタッチしていかないと、と痛感したな。
(左)mintdesigns.
これだよ。東コレの一番人気の「ミントデザインズ」。どうでもいいデザインに、どうでもいい素材、どうでもいい柄なのに、きちっと新しいバランスを作り出している。頭に乗せた木製の恐竜も注目された。
(右)zechia
前々から彼らの人気は耳にしていたが、なかなか。洋服の1つ1つは何でもないものなんだが、実に演出の仕方が上手。頭に乗っけた羽毛布団のようなものも話題性があった。
一方、東コレやパリコレなんかは業界のジャーナリストやバイヤーが対象で、半年先の作品を発表する場だ。JFW自体、3年前からニューヨーク、ミラノ、パリのどこよりも早くコレクションを開催する事になった。
で、なぜ、会期を早めたかというと、開催時期が早くなれば世界中のバイヤーが日本のファッションを買い付けに来てくれるという主旨と、欧米のコレクションの真似ができなくなれば日本の独自性が際立って世界にPRできるだろうという考えなんだ。
ところがだよ。まあ、蓋を開けてみれば海外はもとより、国内のバイヤーも来てないし、ファッション雑誌の編集長も見てない有様。有限責任中間法人 日本ファッション・ウィーク推進機構というところがJFWを取りまとめてるんだけど、PRが下手でさあー。やる気あるのかよ!って言いたいぐらい、ひどいもんだった。
しかし、現場では若手を中心に、ポップで軽い東京らしさが出ていて、東京っぽいファッションが育ってきたな、と思ったね。そして“和”やクラフト的なものが多いのが東京の特徴でもあるんだが、今回、プリミティブ(原始的、素朴で自然)なものやエコをテーマにしているところが注目だった。
(左)writtenafterwards
今回、ロンドンのセントマーチンズ出身のデザイナーが多かったが、彼らもまたセントマーチンズ卒業。このロバとマネキンを使ったパフォーマンス。いやぁ、こんな見せ方があるのかと驚いた。しかし、威張りくさったジャーナリストにはチンプンカンプンで分かってなかったもんな。
(右)SOMARTA
2年ほど前から、どのジャーナリストに聞いてもこのブランドが東コレではNo.1と言われていたが、今回初めて見てみて、ちっともいいと思わなかった。何か照明、映像、演出、全てに力が入り過ぎていて、逆に僕は斬新さを感じられなかった。むしろ柄もののボディスーツやヘッドアクセサリーなんか、くどい。ジャーナリストは騙せてもオレは騙せないっつーの。
(左)everlasting sprout
今回なんせ、かぶり物が多かった。これもすごく、かぶり物に助けられたショーの1つ。ニットを主としたブランドだ。あまりにも荒削りのショーだが、すごくオリジナル性があって、先に期待したいね。
(右)GUT’S DYNAMITE CABARETS
東コレに、どうしてこのブランドがあるのか分からないが、ファッション・ショーというよりもう、新宿2丁目のショータイムって感じだな。年取ったジャーナリストは楽しそうだったが、これはファッション・ショーじゃないっつーの。むしろ見ていて恥ずかしかった。デザイナーの良し悪しのボーダーラインを引けないJFWも情けないよ。
“エコ”というと、中堅どころや大御所のデザイナーは「持続可能」とか「オーガニック」とか、聞き飽きたような言葉と一緒に月並みなデザインをアピール。しかし若い人は違うね。荒削りながら、限られた素材、予算、時間の中で最大限にデザインを引き出しているんだ。それも立派なエコで、僕は“エコ・ミニマム”と名づけたんだけど、省エネ・デザインで自分のセンスとデザイン力を提案している若手の可能性を見い出せて、うれしかった。
でもまあ、若い人がどんどん育っていくのに反比例して、僕が東コレに参加していた20数年前から、見に来ているジャーナリストの顔ぶれが変わらないのには驚いたよ。これが実は東コレの発展を妨げてる1つの理由になってんだよ。
まっ、僕は半年後の東コレもできる限り見たいと思う。そこで若手のデザイナーをどんどん発掘して、いろんなところに紹介したり、若手を集めて戦略を練って、少しでもコレクションのバックアップができたらいいな、なんて考えたりしている。首をつっこむと、また仕事が増えるっつーのにね。今週は興奮してついつい業界の裏話をしちゃったよ。読んだ人は、人に言わないようにね!
(Text/Akiko Takeuchi)
|